保湿成分は2系統|水性保湿剤(つかまえる)と油性保湿剤(フタをする)の違い

悩み別ケア
本記事は泥ラボ(運営:泥ラボ編集部)が制作する編集記事です。特定商品の広告ではなく、保湿成分の分類を知るための一次知識にもとづく解説記事です。

30秒でわかる結論

保湿成分は大きく「水性保湿剤」(水と結合して水分をつかまえる:グリセリン、ヒアルロン酸Naなど)と「油性保湿剤」(水分の蒸散を防いでフタをする:スクワラン、ミネラルオイルなど)の2系統に分かれます。化粧水は水性保湿剤が中心、乳液・クリームは水性と油性を組み合わせる設計が一般的です。実際に成分データベースで調べると、化粧水で代表的な油性保湿成分が入っている製品は1割未満にとどまる一方、乳液は6割弱、クリームは6割に達しました。この2系統の役割を知っておくと、化粧水・乳液・クリームをなぜ順番に重ねるのかが分かります。なお、加齢で減少する「セラミド」はこの2系統とは別に、バリア機能そのものを補う第3の視点として押さえておく成分です。

化粧水を変えても乾燥が続く、その理由

「保湿力が高い」とうたう化粧水に変えても、乾燥がなかなか気にならなくならない。そんな経験はないでしょうか。原因の1つは、保湿成分には性質の異なる2つの系統があり、化粧水だけでは片方の役割しか果たせないことにあります。

この記事でわかるのは、保湿成分を「水性保湿剤」と「油性保湿剤」という2つの系統で見る考え方です。あわせて、化粧水・乳液・クリームがなぜその順番で重ねるように設計されているかも解説します。個々の商品の優劣ではなく、成分表示を読むときの土台になる分類がテーマです。

保湿剤は「水性保湿剤」と「油性保湿剤」の2系統

肌のバリア機能は「皮脂膜」「細胞間脂質(セラミド)」「NMF(天然保湿因子)」という3つの保湿因子のバランスで保たれています。加齢とともにこれらが減少すると、乾燥しやすい肌になりやすいのが特徴です。この構造をふまえたうえで、化粧品に配合される保湿成分は大きく2系統に整理できます。

  1. 水性保湿剤:水と結合することで水分を引き寄せ、抱え込んでつかまえるタイプ。グリセリン、ヒアルロン酸Naなどが代表例です。
  2. 油性保湿剤:肌の表面に膜を作り、水分の蒸散を防いでフタをするタイプ。ミネラルオイル、スクワランなどが代表例です。

どちらか一方だけでは保湿は完結しません。水性保湿剤で水分を引き込んでも、フタをする油性保湿剤がなければ、その水分は蒸散して失われてしまいます。逆に油性保湿剤だけでは、そもそも抱え込む水分が不足したままです。この2系統がそろうことで、うるおいが肌にとどまりやすくなります。

水性保湿剤=水分を「つかまえる」代表成分

水性保湿剤は、化粧水の保湿力の中心を担う成分群です。代表的なものを紹介します。

  1. グリセリン:吸湿性の高い水溶性の保湿成分(ヒューメクタント)の代表例で、国内の化粧水の多くに配合されています。保湿感そのものの実感は弱めとされています。
  2. ヒアルロン酸Na:ヒトの皮膚にも存在する成分で、乾燥から肌を守りキメを整えます。水に微量配合するだけでとろみと保湿感が得られますが、配合量によってはベタつきを感じることもあります。
  3. コラーゲン類:たんぱく質の一種で、肌表面にしなやかな保護膜を作ります。水に溶けにくいため、化粧品では溶けやすく加工されたものが使われます。
  4. BG(1,3-ブチレングリコール):グリセリンと並んで保湿によく使われる成分で、グリセリンに比べてベタつきが少なく軽い使用感になります。保湿力そのものはグリセリンの方が高いとされています。

グリセリンの働きや「グリセリンフリー」表示の意味の詳しい解説は、『グリセリンフリー』は正しい?グリセリンの本当の働きと注意点のとおりです。

油性保湿剤=水分の蒸散を防いで「フタをする」代表成分

油性保湿剤は、水性保湿剤が抱え込んだ水分を逃さないための膜を作る役割を担います。乳液・クリームで重要度が増す成分群です。

  1. ミネラルオイル:石油原油から精製して得られる無色透明の油状の液体(流動パラフィン)で、不活性で皮膚への吸収性が弱く、乳液やクリーム、クレンジングなどに使われています。石油由来という理由で敬遠されやすいものの、医薬品レベルの純度基準を満たす高度に精製された鉱物油について、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、肌に塗る化粧品として使う場合、現時点の知見では健康へのリスクは想定されないとしています。
  2. スクワラン:スクワレンを還元して得られる飽和炭化水素で、化学的安定性に優れ、クリームや乳液などに使われる油性成分です。
  3. マカデミア種子油:肌へのなじみが良いとされる植物オイルです。天然成分のため、製品によって組成に多少の差が出ることがあります。

「石油系だから肌に悪い」「天然オイルの方が安全」というイメージは、由来だけで安全性を判断できるものではありません。

実際、化粧水と乳液・クリームでは配合傾向がこんなに違う

この「化粧水は水性中心、乳液・クリームは水性+油性」という役割分担が実際の製品にどれだけ当てはまるか、成分データベースで確認しました。代表的な油性保湿成分(スクワラン・ワセリン・流動パラフィン・ミネラルオイル)が配合されている製品の割合を、化粧水・乳液・クリームのカテゴリ別に集計したものです。

カテゴリ集計対象代表的な油性保湿成分の配合率グリセリンの配合率
化粧水146件9.6%(14件)80.1%(117件)
乳液66件56.1%(37件)95.5%(63件)
クリーム100件61.0%(61件)90.0%(90件)

化粧水でグリセリンなどの水性保湿剤が8割以上に配合されている一方、代表的な油性保湿成分が入っている化粧水は1割に満たないことがわかります。対して乳液・クリームになると、油性保湿成分の配合率は5〜6割まで上がります。「化粧水で水分を与え、乳液・クリームでフタをする」という役割分担は、実際の製品設計にもおおむね表れていると言えそうです。

化粧水だけを重ね塗りしても乾燥が気になりやすいのは、フタをする油性保湿剤が不足したままだと考えられるからです。水性保湿剤で水分を与えても、フタがなければその水分は蒸散してしまいます。乳液やクリームを省略しない方がよいとされる理由も、この2系統の役割分担から説明できます。

バリア機能を補う第3の視点——セラミド

水性保湿剤・油性保湿剤の2系統に対して、少し別の角度から語られるのがセラミドです。セラミドは角層の細胞間脂質の約半分(重量比)を占める成分で、加齢によって減少するとバリア機能が低下し、乾燥や肌荒れにつながります。

セラミドを配合したスキンケアは、水分を「つかまえる」「フタをする」というその場の保湿というより、角層の細胞間脂質を構成する成分を補うという位置づけで語られます。乾燥が慢性的でバリア機能の低下を感じる場合は、水性・油性の2系統に加えてセラミド配合の製品を選択肢に入れる、という考え方が実用的です。

全成分表示でこの2系統を見分けるヒント

手持ちの化粧水・乳液の全成分表示を見ても、「これは水性」「これは油性」とすぐには判別しづらいかもしれません。全成分表示は配合量の多い順に並ぶというルールがあります(ただし、配合量1%以下の成分は順不同で記載してよいとされています)。そのため、上位に水性保湿剤(グリセリン、BGなど)が来ていれば水性保湿剤主体の設計です。水の次あたりに油性保湿成分が来ていれば、油性保湿剤もしっかり効かせた設計という見方ができます。全成分表示の読み方のルールそのものは化粧品の全成分表示、読み方3ルール|配合量1%の境目の見つけ方で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 化粧水だけしっかりつけていれば乳液は不要ですか?

A. 化粧水は水性保湿剤が中心で、水分を「つかまえる」役割が主です。乳液・クリームに多い油性保湿剤の「フタをする」役割がないと、つかまえた水分は蒸散しやすくなります。データベース上でも化粧水で代表的な油性保湿成分が入っている製品は1割未満にとどまり、乳液・クリームで5〜6割に増えることから、両方の役割を組み合わせる設計が一般的と考えられます。

Q. 油性保湿剤はベタつきそうで避けたいのですが。

A. スクワランやミネラルオイルなどの油性保湿成分は、必ずしもベタつきの原因になるとは限りません。使用感は油性成分の種類や配合量、他の成分との組み合わせによって変わるため、「油性=重い」と一律に避けるより、自分の肌タイプ(水分量×皮脂量)に合わせて選ぶ方が実用的です。

Q. セラミドは水性・油性のどちらに入りますか?

A. どちらにも分類されません。セラミドは水分を「つかまえる」「フタをする」という保湿の2系統とは別に、角層の細胞間脂質の主成分として、バリア機能との関係で語られる成分です。乾燥が慢性的な場合は、2系統の保湿剤に加えてセラミド配合の製品を検討するとよいでしょう。

Q. 「天然オイルだから安全」「石油系だから危険」という見方は正しいですか?

A. 由来(天然か合成か)だけで安全性は決まりません。ミネラルオイルのような石油由来の成分も、高度に精製されたものについては、BfRが、肌に塗る化粧品として使う場合、現時点の知見では健康へのリスクは想定されないとしています。天然由来の油性成分にも、ロットによる組成のばらつきなど別の注意点がある点は覚えておきたいところです。

まとめ

保湿成分は「水と結合して水分をつかまえる水性保湿剤」と「膜を作って水分の蒸散を防ぐ油性保湿剤」の2系統に整理できます。化粧水は水性保湿剤が中心、乳液・クリームは水性と油性を組み合わせる設計が一般的で、実際の製品データでも化粧水で油性保湿成分が入っている製品は1割未満にとどまる一方、乳液・クリームでは5〜6割に達しました。化粧水だけでは乾燥が気になりやすいのは、フタをする油性保湿剤が不足しがちなためと考えられます。角層の細胞間脂質の約半分を占め、加齢で減少するとされる「セラミド」は、この2系統とは別の第3の視点として押さえておくとよいでしょう。全成分表示を読むときも、この2系統を意識すると製品の設計意図が見えやすくなります。

データについて:本文の件数・割合は、泥ラボの成分データベース(2026年8月26日〜9月4日に、各メーカー公式サイト等に掲載された全成分表示を転記・照合した市販品 約850品)を、記事公開時点の収載データで編集部が集計したものです。収載商品は編集部が市場調査で選んだもので無作為抽出ではないため、市場全体のシェアや売れ筋の割合を示すものではありません。

参考資料

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肌タイプ診断|水分量×皮脂量でわかる自分のタイプとケアの選び方
保湿成分の2系統がわかったら、自分の肌タイプ(水分量×皮脂量)に合わせて化粧水・乳液のテクスチャーを選ぶ目安もあわせて確認してみてください。

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