「ガスール(モロッコの泥)って気になるけど、固形と粉末どっちがいいの?水でどう溶くの?毎日使っていい?」——名前はよく聞くのに、使い方の説明が人によってバラバラで迷いますよね。
この記事でわかること
- ガスールが他のクレイと何が違うか、向く肌・向かない肌
- 固形・粉末・ペーストの選び分けと、失敗しない溶き方・頻度
- 「保湿できる泥」と言われる理由と、それをうのみにしない見方
30秒でわかる結論
- 正体:モロッコの中部アトラス地方の鉱床で採れる粘土。主成分はマグネシウムに富むスメクタイト(ステブンサイト)で、化粧品の成分表示名は「モロッコ溶岩クレイ」。皮脂や汚れを吸着しつつ、ミネラルを含み肌あたりはなめらか(ベントナイトより穏やかで、つっぱりにくい”しっとり寄り”と紹介される)。
- 選ぶ物差し3つ:①形状(固形/粉末/ペースト)②純度・処方 ③肌質との相性。
- 使い方の鉄則:粉を水でマヨネーズくらいのとろみ(目安)に溶き、乾く前に流す・こすらない・後は必ず保湿。
- 頻度:パックは週1〜2回が基本(皮脂が多い肌・夏場は最大週3回まで。洗顔用途で毎日使える製品もある)。乾燥・敏感肌は控えめに。
この記事は「ガスールを選んで使いこなす」ための入口です。
クレイの種類ごとの違いを横断で見たい人はクレイの種類を徹底比較、市販のクレイ洗顔そのものの選び方は市販のクレイ洗顔の選び方(4つの基準)にまとめています。
ここではガスールに絞って、正体・選び方・使い方の順に見ていきます。
ガスールとは?|モロッコの泥で、他のクレイと何が違う
ガスール(ghassoul/rhassoul)は、モロッコのアトラス山脈で採れる天然の粘土(クレイ)です。
産地の原土を分析した論文によると、主成分はマグネシウムに富むスメクタイトの一種「ステブンサイト(stevensite)」で、ほかに石英やドロマイトを伴います。鉱床は中部アトラス地方のジェベル・ガスール(Jbel Ghassoul)にあり、大昔の湖に積もった地層(湖成堆積物)からできた粘土と報告されています。
化粧品の全成分表示に使う統一名称(表示名称)は「モロッコ溶岩クレイ」です。日本化粧品工業会の成分表示名称リストには「ガスール」という表示名称はなく、「モロッコ溶岩クレイ」が「モロッコにおいて採掘されるスメクタイトの一種」と定義されています。名前に「溶岩」と付きますが、正体は湖の地層に由来する粘土です。商品を探すときは、成分表示のこの名前を目印にすると確実です。
何世紀も前から、石けんやシャンプー、肌のコンディショナーといった天然の化粧品に使われてきたと報告されています。
マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを含み、微細な粒子が余分な皮脂や汚れを吸着し、古い角質は洗浄で洗い流します(吸着の仕組みは泥が皮脂・汚れを吸着する仕組みへ)。
この「吸着で落とす」性質は他のクレイと共通ですが、ガスールは肌あたりがなめらかで、洗い上がりがつっぱりにくいと紹介されることが多いのが特徴です。
ただし、ここは冷静に見てください。「泥なのに保湿する」とうのみにしないのが大事です。粘土そのものは皮脂や水分を吸着する性質なので、「保湿する泥」と言い切るのは本来かみ合いません。
しっとり感じるのは、配合された保湿成分や、余分な角質・皮脂が取れて化粧水がなじみやすくなったためと考えるのが妥当です。だから洗ったあとの保湿はセット——これはどのクレイでも共通です。
クレイ全般の考え方(吸着の仕組みや泥パックの基本)はクレイ洗顔・泥パックとは|種類と選び方の基準にまとめています。
ガスールが「向く人・向かない人」
- 向きやすい:脂性・混合肌、Tゾーンのテカリ、毛穴のべたつきやザラつきが気になる(吸着力を活かせる)。皮脂・テカリの考え方は皮脂・テカリ肌の泥洗顔へ。
- 慎重に選ぶ:乾燥肌・敏感肌、洗顔後すぐつっぱる人。ガスール配合の洗顔フォームには、全成分表示でガスールが中ほど〜後ろのほうに書かれている製品もあり、洗い上がりはほかの洗浄成分の影響も受けます。とくに冬につっぱりを感じたら頻度を落として短時間で。敏感肌でも泥は使える?もあわせて。
「皮脂が多いから毎日たっぷり」は逆効果になりがちです。洗いすぎは乾燥やつっぱりのもとで、乾いた肌がかえってテカリを感じることもあります。肌質に対して“ちょうどよい頻度と量”で使うのがコツです。
選び方:固形・粉末・ペーストと3つの物差し
ガスールはまず形状で選ぶと迷いません。固形と粉末は、どちらも全成分表示が「モロッコ溶岩クレイ」だけなら表示上の成分は同じで、主な違いは形状と使い勝手なので、好みで選べます。
一方ペースト(練り)は水や保湿成分などを加えた加工品で、固形・粉末とは処方が異なります——手軽さで選ぶ場合も成分表示を確認しましょう。
- 固形タイプ:粉が飛ばず保管・携帯しやすい。水に2〜3分ひたして溶かす。量を調整しやすい。
- 粉末タイプ:溶けやすくなめらかに仕上がる。ザラつきが苦手な人向き。飛び散りに注意。
- ペースト(練り)タイプ:溶かす手間がなくそのまま使える。水や保湿成分を加えた加工品なので、成分表示を見て選ぶ。まず試したい・続けやすさ重視の人に。
- 形状(続けやすさ):固形・粉末・ペースト。固形と粉末は成分表示が同じなら主な違いは形状、ペーストは加工品なので成分表示を確認したうえで、生活に合う「使いやすさ」で選ぶ。
- 純度・処方:ガスール以外に何が入っているか。香料・スクラブ・オイルなどは好みで。敏感な人はできるだけシンプルな処方が無難。
- 肌質との相性:脂性・毛穴悩みは吸着力を活かす。乾燥・敏感はマイルドさと頻度で調整(上の「向く人・向かない人」)。
「無添加だから安心・安全」と言い切れるものではないので、自分の肌に合うかで判断してください。
市販のクレイ洗顔全体の選び方(種類・肌質・剤型・洗い上がりと処方の4基準)は市販のクレイ洗顔の選び方で詳しく扱っています。
成分表示で見る:市販品の「モロッコ溶岩クレイ」の入り方
泥ラボ編集部が全成分表示を集めた市販品854品のうち、全成分に「モロッコ溶岩クレイ」(または「ガスール」)を含む商品は6品(6ブランド)でした。内訳は泥パック3品、洗顔フォーム2品、洗顔パウダー1品です。
| 商品タイプ | 品数 | 全成分表示での位置 |
|---|---|---|
| 泥パック | 3品 | 1品は「モロッコ溶岩クレイ」のみ(粉末100%)/1品は水の次の2番目/1品は水・カオリン・グリセリン・ベントナイトの次の5番目 |
| 洗顔フォーム | 2品 | 22成分中9番目/41成分中31番目 |
| 洗顔パウダー | 1品 | 19成分中6番目 |
全成分表示は、配合量の多い順に書くルールです(1%以下の成分と着色剤は順不同)。同じ「ガスール配合」でも、単一成分の粉末と、数十の成分の後ろのほうに書かれている洗顔フォームとでは、ガスールの比重がまったく違います。ガスールそのものを試したいなら、全成分が「モロッコ溶岩クレイ」だけの製品か、上位に書かれている製品を選ぶのがひとつの目安になります。
データについて:泥ラボ成分DB(2026年8月26日〜9月4日に公式サイト等の全成分表示を転記した市販品854品・約360ブランド)の集計です。編集部が市場調査で選んだ商品で、無作為抽出ではなく、市場シェアを示すものでもありません。
使い方:溶き方・頻度・放置時間
粉末・固形を自分で溶く場合のコツです。比率は商品や紹介者によって幅がありますが、目安は共通して「マヨネーズくらいのとろみ(流れ落ちない硬さ)」。
ガスールと水(またはぬるま湯)を同量〜やや水多め(たとえば大さじ1:1〜1.5)で溶く、と紹介されることが多いです。
溶く前に、入浴中やホットタオルで肌を軽く温めておくと、皮脂や汚れがやわらかくなってなじみやすくなる、というのが泥ラボ編集部の目安です。
ガスールは天然の粘土で防腐剤を加えないことが多く、肌との相性には個人差があります。初めて使うときは、二の腕の内側などに少量を塗って24〜48時間ようすを見るパッチテストをしてから顔に使うと安心です。
- 溶かす順番:先に水、あとから粉を入れるとダマになりにくい。ゆるすぎたら粉を足し、触らず少し放置してなじませる。
- 道具:清潔で乾いた容器とスプーンを使う。製品の説明書に「金属を避ける」などの指定があれば、それに従う。
- 放置時間:パックは短めに。製品によっては数分と短め、一般的には5〜10分程度と幅があります。共通ルールは「完全に乾ききる(カピカピになる)前に流す」。
- 落とし方:こすらず、ぬるま湯でふやかしてやさしく。流す直前に少量のぬるま湯を含ませて泥をゆるめてから流すと、摩擦を減らせます。
- 頻度:洗顔用途なら毎日使える製品もありますが、パック用途は週1〜2回が基本(皮脂が多い肌・夏場は最大週3回まで)。物足りなければ様子を見て調整。
- 洗ったら必ず保湿:皮脂を落とした直後は化粧水・乳液などでうるおいを補う。
塗るときは、目や口のまわりなど皮膚が薄い部分を避けて塗るのが基本です。汚れが気になる小鼻やあごなどは、薄くなりすぎないよう少し丁寧にのせるとよいでしょう。
自分で溶く場合は、清潔なスプーンや容器を使い、その日使う分だけ作るのが基本です。防腐剤を加えていないぶん、溶いた状態で保存すると雑菌が繁殖しやすくなるため、余った分は保存せず使い切りましょう。
つっぱりが気になる人は、溶く際にグリセリンやハチミツを少量加える方法もあります。
ただし効果を保証するものではなく、ハチミツは肌に傷や炎症があるとき、アレルギーが心配なときは避けてください。加える場合も少量にとどめ、その日のうちに使い切ることが前提です。
洗顔・パックのほか、全身やデコルテ、髪に使えると紹介されることもあります。ただし用途を広げるほど肌・頭皮への負担も変わるので、まずは顔で頻度と相性を確かめてから。
泥パック全般の手順とコツは泥パックの正しい使い方、洗顔とパックの使い分けはクレイ洗顔とパックの使い分け、つっぱりやすさの原因と対策はクレイパックがつっぱる原因と選び方にまとめています。
やりがちな失敗
- 乾かし切る:ひび割れるまで放置すると、必要なうるおいまで奪われてつっぱりの原因に。乾く前に流す。
- 毎日パック:吸着力のあるクレイを毎日パックすると荒れることがあります。パックは週1〜2回が基本(皮脂が多い肌・夏場は最大週3回まで)。
- ゴシゴシ洗う:泥と泡をクッションにして指の腹でやさしく。スクラブ入りを力任せに使わない。
- 使いっぱなし:洗ったあとに保湿しないと乾燥を感じやすい。
角栓が気になる人は、力任せに押し出すより泥の吸着でためこまないのが近道です(角栓ケアと泥パック)。
他のクレイとの違い(選び分け)
同じ「泥」でも吸着力と肌あたりは種類で変わります。ガスールは、しっかり吸着するベントナイトより穏やかで、マイルドなカオリンよりは吸着する——目安としては中間の”しっとり寄り”のポジションです。
| クレイ | 吸着力 | ガスールとの関係 |
|---|---|---|
| カオリン(白) | マイルド | ガスールより弱め。乾燥・敏感・初心者向き |
| ガスール | 中程度・しっとり寄り | 基準。皮脂は落としたいがつっぱりは抑えたい人向き |
| ベントナイト | 強め | ガスールより強め。脂性・毛穴のべたつき向き |
迷ったらまずマイルドなカオリン主体から、しっかり落としたいならガスールやベントナイト、という選び分けが基本です。5種類の詳しい違いはクレイの種類を徹底比較へ。
なお、表の吸着力は一般的な紹介のされ方をもとにした編集部の目安で、同じ条件で測った比較ではありません。実際の使用感は、クレイの配合量や一緒に入っている洗浄成分・保湿成分で大きく変わるので、成分表示での配合順位もあわせて確認してください。
沖縄の海泥「くちゃ」との違いが気になる人はくちゃとは|沖縄の海泥の正体もどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. ガスールは毎日使ってもいい?
洗顔用途でおだやかな設計のものなら毎日使える製品もありますが、パック用途は週1〜2回が基本(皮脂が多い肌・夏場は最大週3回まで)です。洗ったあとにつっぱる・乾くと感じたら頻度を落としてください。
Q. 固形と粉末、どっちがいい?
全成分表示が「モロッコ溶岩クレイ」だけの製品どうしなら、固形でも粉末でも表示上の成分は同じです。保管や携帯のしやすさなら固形、溶けやすさ・なめらかさなら粉末。溶かす手間を省きたいならペーストタイプ、と使いやすさで選んで大丈夫です。
Q. 髪や体にも使える?
髪や全身に使えると紹介されることもあります。ただし部位によって肌・頭皮の状態は違うので、まずは顔で頻度と相性を確かめてから広げるのが安全です。乾燥を感じたら頻度や置き時間を控えめに。
Q. 毛穴の黒ずみには?
黒ずみにはタイプがあります。酸化して黒く見える古い角質や皮脂によるものなら、クレイはこうした汚れを吸着して落とすのが得意なので、ためこみにくくするのに向いているのが特徴です。
一方、色ムラ(メラニンによるもの)などは泥では対応しにくく、原因で手当てが変わります。まず自分の黒ずみのタイプを見分けましょう(毛穴の黒ずみ|泥で落とせるもの・落とせないもの)。
なお一度で大きく変わるものではなく、擦らず続けることが大切です。
まとめ
ガスールはモロッコ産の粘土で、皮脂や汚れを吸着しつつ、ミネラルを含みしっとり寄り(ベントナイトより穏やかと紹介されることが多い)のタイプ。選ぶときは①形状(固形/粉末/ペースト)②純度・処方 ③肌質との相性で。
使い方はマヨネーズ状に溶いて・乾く前に流す・こすらない・週1〜2回が基本・洗ったら保湿。「保湿できる泥」とうのみにせず、洗浄と保湿はセットで考えるのが失敗しないコツです。
次に読むなら:クレイの種類を徹底比較|ガスール・カオリン・ベントナイト・くちゃ・死海泥の違いと選び方で、ガスール以外の泥とも見比べて自分に合う一本を選べます。
別の泥も知りたい方は死海泥コスメの選び方・使い方もどうぞ。ガスールとの質感・使い方の違いも分かります。
国産のクレイと比べて選びたい方は国産クレイと輸入クレイの選び方もどうぞ。
参考資料
- 化粧品の成分表示名称リスト(「モロッコ溶岩クレイ」で検索、成分番号557179)(日本化粧品工業会、2026年9月29日確認)
- 化粧品の全成分表示の表示方法等について(平成13年3月6日 医薬監麻発第220号・医薬審発第163号)(厚生労働省、2026年9月29日確認)
- Benhammou A. et al. Mineralogical and physicochemical investigation of Mg-smectite from Jbel Ghassoul, Morocco. Clays and Clay Minerals 57(2), 2009(Cambridge University Press、2026年9月29日確認)
- Rhouta B. et al. Elucidating the crystal-chemistry of Jbel Rhassoul stevensite (Morocco) by advanced analytical techniques. Clay Minerals 43(3), 2008(Cambridge University Press、2026年9月29日確認)
- Chahi A. et al. Textural transition and genetic relationship between precursor stevensite and sepiolite in lacustrine sediments (Jbel Rhassoul, Morocco). Clays and Clay Minerals 45(3), 1997(Cambridge University Press、2026年9月29日確認)
- El Ass K. Adsorption of cadmium and copper onto natural clay: isotherm, kinetic and thermodynamic studies. Global NEST Journal 20(2), 2018(Global NEST、2026年9月29日確認)


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